記録と語り 記録に残ったことと、後から語られた話を分けて見る

史料ガイド

『任官之記』(関白任官記)にんかんのき

同じ時代の記録 出来事と同じころに書かれたもの。いちばん重い。ただし書き手の立場は考える

書いた人大村由己(おおむら ゆうこ)
いつ1585年(天正13)8月 奥書
使っている章第一章「誰でもなかった兄弟」

一どんな本か

秀吉が関白になったことを記した書。『惟任退治記』と同じ大村由己の筆です。

二読むときに気をつけること

ここには、母の父は「萩中納言」、母は禁中に宮仕えして帰郷しほどなく秀吉が生まれた、とあります。貴人の血筋をにおわせる書き方です。

3年前、同じ由己は「秀吉の生まれはもともと貴いものではない」と書いていました。関白就任がその境目になっています。出自の話が「誰の都合で、いつ変わったか」が見える、このシリーズでいちばん重要な史料のひとつです。

生年の手がかりとしても使われ、「丁酉二月六日」=1537年2月6日とあります。ただし「萩中納言」という人物の実在は確認できていません。

三Web で読む