記録と語り 記録に残ったことと、後から語られた話を分けて見る

史料ガイド

『黒田家譜』くろだかふ

後の時代の本 出来事から時間がたってから書かれたもの。よく知られた逸話の多くはここから出る

書いた人貝原益軒(かいばら えきけん。福岡藩に仕えた儒学者)
いつ1688年(貞享5)完成とされる
使っている章第五章「播磨の泥沼」

一どんな本か

福岡藩・黒田家が、藩儒の貝原益軒に命じて編ませた家の歴史。黒田官兵衛(孝高)の事績を詳しく伝えます。

二読むときに気をつけること

黒田家が、自分の家の歴史としてまとめさせた本です。出来事から100年以上あとに書かれています。

このシリーズで重要なのは、よく知られた官兵衛の逸話の多くが、この本にしか見当たらないことです。

- 有岡城に囚われた話(捕らえられた経緯、栗山善助が溜池を泳いだ話、出てきたとき「力よはり、足すくみて歩行かなはず」だったこと)- 竹中半兵衛が人質の松寿丸をかくまった話

『信長公記』に官兵衛の幽閉の記事はなく、半兵衛の子が書いた『豊鑑』にも松寿丸の話はありません。身内の記録だから書けたことと、身内の記録だから盛られた可能性の両方を考えて読む必要があります。

一方で、この本に書き写される形でしか残っていない秀吉の書状もあり(1578年11月とみられる「官兵衛事、別而荒攝無等閑候」)、史料としての値打ちもあります。

三Web で読む